ミキミヤ

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ふと空を見上げたら、飛行機雲があった。空を飛ぶ飛行機がスーッと白い線を引いていく。置き去りにされた白い線は端からぼやけて、やがて空色に溶けていく。
それを見て、何となく『記憶みたいだな』と思った。鮮烈だったあなたの記憶は、今やほわほわとぼやけて、私の中で溶けようとしている。それであなたと過ごした日々がなくなるわけではないし、溶けた記憶だって私の一部になってきっと一緒に生きていけるはずだ。それでも、あなたを鮮やかに思い出せなくなってしまったことに、どうしようもなく寂しさを覚えてしまう。

途切れた飛行機雲が空に溶ける。私はそれを、泣きそうな気持ちで見ていた。

5/21/2025, 8:34:00 AM