ヨルガオ(短編小説)

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一筋のスポットライトがステージ上の女性を照らす。

女性は軽やかにステップを踏み、観客を虜にする。

彼女は選ばれた人間だ。

そして私は選ばれなかった人間。

どれだけ小道具を運んでも、どれだけ頑張っても

観客の視線は全て彼女の物になる。

だって彼女だけが主役なのだから。

彼女さえ居なければ、

この視線を私だけの物に出来たのに。

………あ。

あるじゃない。

彼女を照らす役割の私にしか出来ない、

みんなの視線を私の物にする方法が。

私は、踊る彼女の真上に行き

照らすスポットライトの鎖を切った。

けたたましい音と悲鳴が鳴り響き、

みんな、私に釘付けになった。


ー私だけー

7/18/2023, 10:28:18 AM