ストック1

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世の中には、隠された真実がいくつもある
なぜ隠されてしまったのか?
その理由は様々だが、私はそのうちのひとつを暴こうとしている
私の師である学者が、長年研究していたものだ
師は、この研究をどういうわけか封印し、その後失踪してしまった
おそらく、それだけ恐ろしい結果が待ち受けていたのだろう
私はそう考えた
本来であれば、そんな研究は封印したまま放置すべきだったのかもしれない
だが私は好奇心を抑えられなかった
なんとしてもこの研究を完了させ、その先にある真実を解き明かしてみたい
その思いだけで、私は突き進んだ
だが、途中からこの研究の恐ろしさを知った
多くの人間にはこの内容は理解できないだろう
だが、師によって学んできた私には理解できてしまう
封印したのも頷けると納得した
しかし、私は止まれなかった
恐怖よりも好奇心がどうしても勝ってしまう
私は自分でも病的だと思うほどに、研究にのめり込んでいった
その途中で私は気づいた
師はすでに研究を完了させていたのだと
研究を完成させたことにより、失踪するに至ったのだ
この研究を改めて完了させれば、おそらくは私も……
失踪後何が待ち受けているのか
おぼろげながらなんとなくその正体を掴んだそれに気づいた時、私はそれまでの人生で一番興奮した
師は封印したのではない
研究の成果を残せなかったのだ
この研究は、途中から痕跡を残すことができなくなる
なぜなら、自分の頭の中でしか進められなくなるからだ
何を言っているのかわからないことだろう
しかし、このステージに来なければ、到底理解できないことなのだ
これを言葉で説明するなどということは不可能だろう
ただひとつ、言えることがあるとすれば
この真実は、決して悪いものではない、ということだけだ
最初に感じたような、恐ろしいものでは断じてない
いずれきっと、全人類が理解することになる
私が今から辿りつく答えが、なんなのかを
私はひと足先に、進ませてもらおう
時が来て、また会えるのを楽しみにしている



「これでうちの研究者で失踪したのは二人目ですか」

「ああ
捜索活動は続いているが、見つからないらしい
しかし、こんな意味のわからない文書を残すとは……」

「真実というのに辿りついて、消えてしまったんでしょうか?」

「こんなもん本気にするなって
ここ最近のあいつはおかしかった
虚ろな表情でいつもブツブツ言ってたし
研究にのめり込みすぎたんだろう
それで、精神的に自分を追い込んじまったんだ
この怪文書も、失踪もその結果さ」

「なんでそこまで追い込んでしまったんでしょうね?」

「さあな
俺としては、こんなことになる前に、自分で気づいてほしかったけどな
あいつの師匠も同じように失踪してるし…研究者ってのはどうしてこう自制が効かないかね……」

「この文書、どうします?」

「ま、適当に保管しといてくれ」

「わかりました
……あれ?
裏に何かメモが……
この文字列、なんだろう
……これは、彼の研究の一部?
あっ、この文字列の意味はたぶん、こういうことでは?
ということは、これがこうで……
……だとするとこの研究内容、もしかして……!」

7/13/2025, 11:05:34 AM