ラフロイグ

Open App

ソファーに腰かけ、Instagramをぼんやり眺めていたら、
「手のひらの宇宙」と題した一枚の画像が目に止まった。

大事そうに手のひらにのせられたエコー検査の写真。
なるほど、これからどんどん大きくなるであろうお腹を、現在も膨張し続けていると言われている宇宙に見立てたのか!
決して珍しい表現方法ではないけれど、なんだかほっこり。

そんな折、パパがお風呂からあがってきた。
「お?何見てんの?インスタ?」
と聞かれたから、上記の写真を見せて、更に私的見解を述べた。

「ん〜、違うんじゃない?」
「へ?」
「だから、お腹を宇宙の規模に見立てた訳では無いんじゃない?」
「えー、じゃあパパの見解は?」
「無限の可能性って意じゃない?親目線だとそうなる」
「パパもそんな感じだった?」
「ん〜俺たちの時代のエコー写真ってのは、今みたく鮮明には見えなくってな〜。宇宙を感じるってよりは…豆かな〜」
「まめ……」
「しょうがないだろ。命の息吹を感じられる程の画素数が無かったんだよ当時は。そもそも俺は情緒的ではないし、完全なるノンフィクション人生だから。脚色していない嘘偽りのない感想だ」
「手のひらの豆…」
「いやいや、色々な才能の芽が出てるだろ?インスタの宇宙の奴と同じなんだって!根本的には」
「………」

「豆は明日の出荷に備えます。お休みなさい」

バタンッと強めにドアが閉まる音がした。


——— 手のひらの宇宙 ———

1/18/2025, 3:57:11 PM