裏表のないカメレオン

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暗い部屋が、夜を告げていた。
私は、重たい瞼を無理やりこじ開けるように擦る。夜勤明けの体はいつもよりGがかかったように動かなかった。
手でまさぐってみたけれど、リモコンは見当たらず、かわりに汁だけ入ったカップ麺に触れた。
その臭いが強烈で、諦めてマットレスに顔を埋めていると、ときおり鼻を刺した。
アラームが鳴った。
夜通し雨がふり、部屋の空気は冷え切っていて、私は毛布に包まる。ここから出る気は起こらなかった。朝だから暖かくあるべきだろう。
五分後、またそれは鳴動した。ひのひかりが赤く瞼を照らし、眩しかった。

6/9/2024, 3:03:10 PM