伊藤透雪

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光の回廊


暗がりに懐中電灯で照らす
と矢のように光が指すのは
曲がりくねった道。

「この道で合ってるのか」
「その筈だ」

さざめく葉擦れ
右への指示版が掠れて見えた。
こっちだ、
キョロキョロしているツレの肩を掴む。
若干の登り坂を指す懐中電灯は
左への指示版にうっかり当たってしまう
右は真っ逆さまの崖だ。

背中が寒くなりながら焦って左へ向かう
と僅かに窪んだ道に出た。
灯りを振ると、どうにか降りる道
がまたクネクネと続いている。
ツレが背中に手を当てているようだ。

「行くぞ」

返事は無いが構わず進む。若干
急ぎ足になって、くねる道を行く。
街灯が見えた途端

山道は無くなってしまった。
俺達は何処へ迷い込んだのだろう。
誰もいない平坦な所
で懐中電灯はなお灯りを指す
すっかり日が落ちてしまうまで、
山で夕日など見ている場合でなかった。
煙草を取り出し火を付けふかし
ふと
やたら長く感じたな、と腕時計を見た
10分しか経っていない。
まさか、と思いかけた頭を振った

麓の灯りがありがたい。
道路の照り返しはホッとする
んだなと僅かな視界で撫でた道
で振り返ってツレを見た
街灯の陰で薄暗く黒くうっすらしている。

「おいっ」

ニヤリと笑う人影に背筋が凍った。




12/23/2025, 2:40:11 AM