私が今年の3月から仕事してる私立図書館は、
実は私の推しゲーの聖地にして生誕地で、
なんなら先日から、ウチの図書館の制服を着た推しキャラが、新規ガチャでピックアップ。
課金すれば渋沢さん1人で全ピックアップ最高レアキャラが1人ずつ手に入る計算だし、
1人あたりの単価がなんと破格の1000円。
多過ぎる新規キャラゆえに、課金者への配慮が為されたって、もっぱらのウワサだ。
だって10人(+α)だ。
全員完凸させたい猛者には修羅の道だ。
私はさいわい、2人というか2人+1匹というか、ともかく3種を完凸させるだけで十分だけど、
私がたまに見てる某ネット動画のチャンネルは、
昨日投稿された動画内で、渋沢さんが25人招集されて、それでもまだ未完凸キャラが3人居た。
こういうひとがゲームを支えてるんだと思う。
合掌(畏怖と尊敬)
「で、お前は今までで、いくら注ぎ込んだんだ」
「知らない、知らなぁい、残高なんて見てなぁい」
ぐつぐつ、ことこと。
私の死角になってるキッチンでは、先輩がロールドタイプとかいうオートミールをお湯で煮てる。
先輩曰く、オーツ麦はお米と同じイネ科。
もち麦おかゆみたいな食感になるらしい。
……先輩これまでクラッシュタイプとかいうの使ってなかった??(その節はご馳走様でした)
「ドラッグストアで、砕いていない方が3割引きだったのを3袋手に入れて、それをな」
そうですか(理解)
「先日お前に分けてやった紅鮭がゆ風も、フリーズドライの紅鮭がゆに、その3割引きオートミールでかさ増ししたやつだ」
そうですか(納得)
「ほら。できたぞ」
「おおお。これが砕いてない方の」
世では備蓄米が販売開始とか、何分ですぐ完売したとか、色々あるようだけど、
きっと、アレにはハナから勝ち負けなんて、私達図書館職員には存在しない。
というのも、店頭販売が開始された今日は、普通に図書館の開館日。お仕事なのだ。
そもそも ならべない (しゃーない)
勝ち負けなんて無い(備蓄米闘争)
勝ち負けなんて、無い(ガチャ完凸の決意)
ということで今日は先輩のアパートに、シェアディナーを申し込んで、
生活費節約と申しますかガチャ費用捻出と申しますか、ともかく、お邪魔してる。
先輩との生活費節約術な付き合いは、ずーっと前から続いてて、もう何年か知れない。
先輩は「1人分も2人分も一緒」という。
私は冷蔵庫の食材とか調理時の光熱費とかを持ち寄って、先輩はそれと自分のとこの食材を合わせて、低塩分低糖質を作ってくれる。
で、今日は砕いてないオートミールを使った、おかゆ風のたまご&鶏手羽元だった。
上に乗っかってる丸い野菜天ぷら、どこかで見たことあると思ったら、アレだ。
某カップラーメンだ。たしか3枚入りで個別販売してたっけ。 それかな。
たしかにモチモチしてる。
白米のおかゆというより、もち麦ってカンジ。
「味変が必要なら、」
先輩がテーブルに出してきたのは、柚子胡椒とラー油と、それから少しの生姜と胡椒、それから七味。
「個人的には、柚子胡椒が美味い、と思う」
「だけど私は一味で出撃するのでーす」
一味と七味は推しキャラの召喚触媒!
先輩から七味の小瓶を貰って
(先輩がいつも使ってるラベルじゃない。新しいメーカーに変えるなんて、先輩にしては珍しい)
パッパと振って、カシャリ写真撮って、
パン、ぱん、祈りの合掌して先にガチャ引いて、
「お願いします、おねがいします、おね……が!」
11連で出てきたのは、まさしく推しの2枚引き。
司書服を着た、「【司書】ルリビタキ【閲覧室ではお静かに】」。これで、撤退可能ライン到達です。
「ありがとう、先輩、ありがとう、ありがとう……」
ひとまず、推しは全部、完凸できた。
私は先輩の両手を握って、何度も何度もお礼して、
でも先輩は何に対してお礼されてるか知らなくて、
「私は何もしていないが??」
すごく、きょとんと、目が点になってた。
「やっぱり、ガチャは、勝ち負けなんて次元じゃないよ。欲しいものは、欲しいときに、だよ」
「その『勝ち負け』にいくら溶けた」
「知らない、知らなぁぁぁい」
6/1/2025, 3:15:38 AM