イオリ

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恋物語

 春の風が告げたけど、わからなかった。自分のことで精一杯で。

 夏の日差しは、勇気をくれた。その想いは間違いじゃないって。

 秋の夕日が見せてくれた。ふたりが並ぶと、影もルンルン歩くって。

 冬の空に涙した。繋いだ手がほどけたら、温もりがすぐに消えてしまって。


 ってことを、僕はずっとノートに書いていた。

 だからだ。

 所詮、紙の上。簡単に破れてゴミ箱行き。

 だから、僕の恋はペラッペラ。

 もし次に恋があったら、その物語はコンクリートの壁にでも刻もう。もしくは、豆腐のような脳みそに。これなら消えることはないだろうから。

5/18/2024, 11:42:33 AM