ー私の世界ー(現実逃避)
私はある時気づいた。
生きる世界を変えられることに。
異世界に行くとか、そんなんじゃない。
人の反応が変わるんだ。
例えば嫌いなあの人に
「これ…」
って物を差し出すと、いつもならダメ出しをしてくるのに、この世界だと過剰に肯定してくる。
それはストレスがたまらない素晴らしい世界。
現実とも同期していて、反応だけが違う。
私はこの世界を“逃避先”と名付けた。
私は理想の世界へ行けるように念じながら、ゆっくり目を閉じた。
―――――
俺は、目を開けた。
その時いきなり、視点が変わった。
気がした。
いつも通りの景色は、俺のそんな考えを否定している。
しかし、違和感は当たっていた。
嫌な人と、良い人がいる。
この違いに気づいた時、俺は初めて呼吸をした気がした。
例えば、ぐちぐちダメ出しをしてくる人がいる。
俺は人に気を遣おうと、努力するようになった。
例えば、些細な変化に気づいてくれる人がいる。
指先の絆創膏に気づいて気にしてくれる人に、胸がじんわり熱くなった。
噛みしめるように、目を閉じた。
―――――
目を開けた時、私はちゃんと現実にいた。
約1ヶ月ぶりに来た現実は、数段濁って見えた。
出社する。
私はなぜか、周りの人から「気の遣える人」という評価をもらっていた。
しかしそれはすぐになくなり、周りの人からのあたり方もいつも通りになった。
これだから現実は。
避難所での生活は実に快適だった。
誰も否定しないし、転んだらみんな駆け寄ってきてくれる。
わざと嫌なことをするやつもいない。
髪を染めても、怒られなかった。
……というか、反応がなかった。
まぁ、それは、しょうがない。
…とにかく、俺がそんな世界から帰ってきたのはお金がなくなったからだ。
どうせ現実じゃないんだし…と思って散財しまくった結果、貯金が尽きた。
あーあ、戻ったら元通りになっていないかな。
―――――
また、視点が変わった。
俺は自分の姿を見て驚愕した。
髪が、変な色に…。
そして、貯金はすっからかん。
あくせくして働いたのに…。
俺がいなかった間、強盗が入ったのかもしれない。
久しぶりの部屋には、生活感があった。
物が散らかっている。
そういえば、俺が行ったあっちの世界の部屋も、散らかってたな…。
もう一回、なにかの間違えで、あっちの世界に行けないかな。
…はぁ、どうやって生きていこう。
―――――
私は約1ヶ月もの間現実で過ごしたが、耐えられなくなっていた。
もう一度、避難先へ。
―――――
目を開いた時。
俺は瞬間的に、悟った。
別の世界に、俺と同じ意識をもつ人間がいると。
そして今、そいつが俺と入れ替わっている。
もう、俺はこの世界を出るつもりはない。
散らかったものを整えながら、決心したように頷いた。
―――――
私の避難先は、貯金が貯まっていた。
……仕事が変わっている。
私は仕事を変えていない。
……どういうことだ?
胸騒ぎがして、急いで現実へ戻るように念じた。
しかし、戻れない。
どうして?
その時初めて、私は
私以外の私という生命体が
“こちら側の現実”を選んだのだと理解した。
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今日凄い眠いんですけど…。誤字あったらごめんなさい。
おやすみなさい。21:15
2/27/2026, 12:15:20 PM