小鳥遊 桜

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【君に会いたくて】
(日の出の話を読んでいると、ちょっとだけですけれど、面白いかもしれないです。)


小さい頃、幼なじみと日の出を見ることが好きだったの。
僕たちの住んでいる場所が、海に近くて、キラキラ光る海と日の出がとても綺麗で好きだった。

幼なじみとは、よく海で綺麗な貝殻を拾って、ボンドでダンボールに沢山くっつけてお互いの部屋に飾って遊んでいたんだぁ。懐かしいなぁ。


……って、どこかで似たような話を読んだことある?
うそ。あれ…?
うん。そっか、そうなんだね。

あのね。僕は、高校生の時に引っ越したの。
理由はね、家庭の事情があって…その、父親がね夜中に急に部屋に入ってきて『アイツと離婚する事にした。今すぐ家を出るから準備しろ。』って言われて。
何がなんだか分からないまま、家を出ていった。
もちろん、君との思い出もカバンに入れて。
大事な大事なダンボールの宝物。

でも、あの子に最後に一言だけでもいいから…手紙でもいいから、言いたいこと言いたかったな…。




大人になって、父親と離れて暮らすようになった。
僕は、まだまだ弱いけど…なんとか生きています。

ある日、離れて暮らす母親が久しぶりに会いたいって言ったので会いに行くことにしました。
前までは、父親の許可が必要だったけど、今はもうそういうのいらないみたいだから。


電車に乗ってる時。
幼なじみに…似たような雰囲気の人を見つけた。
多分、気のせいだよね。って思ってたけど…降りるところも同じ、行く方向も同じ…っていうことは、やっぱり、あの子!?
バレるかなって思ってたけど、幸い(?)僕のことには、一切気付いてないみたいだけど…どうしよう。
きっと…ううん、絶対絶対絶対怒ってるよ。
そう思って、僕は、こっそりと母親が住んでいる家に帰った。



家に着くと母親と話しをして、一緒にご飯作って食べて、お風呂入って、何をしようかなって思いながらゆっくりしてる頃、母親から
『そういえば、貴方はよく海に遊びに行ってたわね。夜だけど、近くだから、遊びに行ってもいいわよ。あっ、でも、コケないように、気をつけるのよ。』
そう言われてみれば、ちょっと、行ってみたいかも。
軽く身支度をして、海に行くことにした。



海は、当たり前だけど、誰もいない。
そして、すごく静かだった。
「あ、この貝殻綺麗。」
綺麗な貝殻を拾おうとした時
『ねー!海!いるんでしょ!』
僕の名前を呼ぶ女の人の声が聞こえる。
母親かなって思った。
けど…違う。
『出てこないと怒るよ!』

少しだけ怖くなって、慌てて物陰に隠れた。
隠れても何も解決しないのに。心臓バクバクいってる。
どうしようどうしようって頭の中で考えていたら、声がだんだんと遠くになっていった。


「僕は、なんですぐ逃げるんだろう。弱虫。嫌いだ。」
そう言って、物陰で、ボロボロと泣いてしまった。



次の日、仕事の都合で帰ることになって…でも、やっぱり君に会いたくて、勇気を出して家に行った。
けど、すれ違いで、帰っちゃったみたい。
だから、ご両親には迷惑かもしれないけど、手紙を預けることにした。


〝突然の手紙ごめんなさい。僕のこと怒ってるよね。当たり前だよね。僕、臆病者だから、ひなたの前に出て話すことが出来なかったです。ごめんなさい。でも、その、また一緒にいたいです。仲直りしたいです。ここに僕の電話番号書いておきます。いつでも大丈夫です。よかったら、連絡ください。今度は、逃げません。海より〟




やっぱり、怒るかな。びりびりに破って捨てるかもしれない…けど、それでも仕方ないよね。
でも、連絡くれるかもしれない…とか色々なことを思いながら、君からの連絡をゆっくりと待ってます。

1/19/2023, 3:32:59 PM