「ところで」
「ところで?」
「日本語でもほかの言語でも翻訳できない言葉ってあるじゃない?」
「あー、なんか聞く。侘び寂び?」
「そう、そういったの」
「で、ところでには何?」
「今回のお題がそれっぽい」
「あ、まあメタなやつだ!」
「さっきの侘び寂びつながりて、古池やの蛙が複数形で翻訳されたりとか、文化の違いを感じるよね」
「あー、どう見てもちゃぽん、と飛び込むのは蛙一匹でしょ」
「そう、そういったニュアンスは文字だけにはなくて、文化的コンテクストがセットになっていたりする」
「なんか難しいぞ」
「例えば、日本語の果物と英語のfruit(s)は含まれている内容が違うというか、日本のかぼちゃは緑だけどpumpkinのイメージは黄色とかオレンジ色だったりとか」
「あー、それはなんとなくわかる」
「そう、それでメタな視点でみるとこのお題の『木漏れ日』もそういった言葉だったりする」
「なるほどねー」
「で、さらにメタな視点でいうと、このお題を翻訳して文を書いている人にはこの木漏れ日のニュアンスが伝わっているのかとか、英語のお題の時に英語を翻訳した日本語ではなく、日本語かされた英語でもなく、そのままの英語でお題になっているのか?そもそも出題者がそれを認識しているのかとかを考えてしまうわけだ」
「……」
「……」
「考えすぎじゃない?あと長い」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうか」
「こんなに天気が良くて木漏れ日が気持ちいいのに、それを楽しまないなんてもったいないでしょ」
「そういえば木漏れ日といえば、木の葉のさらさらした音も、瞼に映る優しい影、季節によるけど暖かさとかも一緒に文脈に含まれるような気がするのだが……」
「もういいから!」
お題『木漏れ日』
5/7/2025, 12:47:02 PM