沈む夕日
僕は沈む夕日と君の背中を見ていた
僕はいつも君の少し後ろを歩く
部活で肩を怪我した後遺症で君は両手で鞄を持つようになった
丁寧に暮らしている儚げで強い君が大人に見えた
この景色を僕達は今日、卒業する
もう二度と見ることのない沈む夕日の中に居る君を眼差しの奥に閉じ込める
それでも薄くなっていくだろう記憶にセンチメンタルな気持ちで今を見ていた
君は後ろを歩く僕の横に来て
「一緒に夕日を見よう
この日を忘れたくないの
怪我して部活が出来なくなって
こうして帰る途中、泣いて立てなくなった私の泣き顔を見ないように気を使いながら
立たせてくれた……ありがとう」
「一緒に写真も撮ろう」と言う君の横で
照れ笑いをした
あれから毎日、僕だけがこの夕日をひとり
照らされて帰り道を歩く
僕も君ももうあの日あの時のように制服を着て
帰ることはない
だけど『思った以上に記憶って薄れないんだな』と呟いて、いつもの坂道を今日も明日も
僕は歩いて行く
4/7/2026, 10:46:58 PM