もし君が此処に居なければ
きっとあの日は平和に終わり
もし君が此処に居なければ
きっと美味しいご飯を食べ
もし君が此処に居なければ
きっと寒さに震える夜は無く
もし君が此処に居なければ
きっと平穏に大人になれただろう
そして
もし僕が此処に居なければ
それは全て君のものだったはずで
もし僕が此処に居なければ
君と向かい合うこともなかった
だから
もし君も僕も此処に居なければ
もしそんな世界があったなら
天の国で二人並んで
笑い合うことも出来るだろうか
‹もしも君が›
もしも生涯に一度だけ
その人生をカタチにするのなら
きっと君が遺した記憶で
一つの曲を作るだろう
生まれた日に聞こえた音を
死に逝く日に聞こえた声を
はじめて目に映る歓声を
さいご眼裏に映る残心を
季節の香を飲み込んだ味を
触れた手に抱いた感情を
紡いで繋いで一つにして
一つの曲を作るだろう
君をさいごまで忘れぬように
君をさいごまで愛すために
‹君だけのメロディ›
私が愛してもいいですか
鮮やかに染まる光を
花開いていく成長を
私が愛してもいいですか
果遠く広がる世界を
夢に煌めく両の目を
私は愛してもいいですか
繋がりゆく命の願いを
灯し消える短な生命を
私も愛していいですか
祝福出来なかった君のこと
それでも愛したかった君のこと
‹I love›
さらさらと肌を流す流体が
やけに心地良かったのを覚えている
靄のように細やかな日も
礫のように激しい日も
砂に煙に犯された汚らしい流体が
そうと知っていても尚
ヒトの熱移す液体より
傘差し掛ける情感より
余程余程心地良く
生涯その音しか聞こえない
そんな場所を探している
‹雨音に包まれて›
6/15/2025, 10:00:38 AM