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※喫煙表現あり。喫煙を推奨するものではありません。


昼休憩。職場近くのコンビニで弁当を買って戻って来たら、彼が喫煙室に入っていくのが見えた。前は付き合いで吸ってるだけだと言っていたのに。何となく気に入らなくて彼を追って喫煙室に入った。
「誰かと約束してるの?」
「私がいつ何を口にしようが私の勝手でしょう。」
そんなことを言いながらも僕が入った途端、まだ火がついていたタバコを吸い殻入れに押し付ける彼は優しい。
「たまにね、無性に吸いたくなるんですよ。健康に悪いのは分かってるんですけどね。」
「ふうん。」
僕は吸ったことがないから分からないけど、そういうものなのだろうか。ふと思い立って先程コンビニで弁当と一緒に買った赤いパッケージを取り出した。
「あ、バレンタイン。うちの部署でも女の子達がわいわいしていましたよ。」
「買うつもりは無かったんだけど、ちょっと眺めてる時に店員さんと目が合っちゃってさ。でも、買って良かったよ。」
ビニール袋を破り、タバコより細くて長いそれを一本差し出した。
「はい、ハッピーバレンタイン」
「……ありがとうございます。」
怪訝そうな顔をしながらもサクサクと食べ進めていく彼の表情が少し和らいだ気がした。

人の輪を外から見ている時ほど寂しい時はない。自分は混ざれないと分かっている時は尚更。
もし、君が此処に来た理由がそれなら、取り敢えずは僕の隣が君の居場所ってことにしないか?なんてドロドロした感情を甘いチョコレートと一緒に飲み込んだ。

2/15/2024, 8:07:50 AM