"霜降る朝"
冬の朝に目覚まし時計に起こされる。
ツンと冷たい空気が鼻を凍て付かせている。
そんな感覚は嫌いじゃない
布団の中の暖かな空気に誘われて、頭の先まで布団を被る。
自らの体温で温かくなった布団は柔らかくて、とても心地がいい
いけない
このままでは遅れてしまうと自らを叱咤するように布団を蹴り上げる。
勢いのまま冷たい空気を弾き飛ばすようにググッと体を伸ばして、叩き起こす。
「ふぅうう…寒い」
けれど寒いものは寒い、体を動かせば温まるという母の言葉に倣って、いそいそと階段を駆け降りた。
鏡の前に立って、マフラーを首にかける。
くるっと回して、引っ張って、整える。
真っ赤なマフラーが首元でふんわりと寄り添っている。
その光景に満足したところで手袋を手に取ると、母が後ろに立っていることに気がつく。部活があるから遅くなるよ、行ってきます。と伝えて玄関の鍵に手をかける。
気をつけて、行ってらっしゃいという母の声を聞きながら扉を開けて、母に手を振って外に出る。
息が白い。マフラーからはみ出た耳が冷えていくのを感じる。
私はマフラーを持ち上げて暖かさを享受する。
公園を通って近道をしようとすると心地の良い音が足元から聞こえてきた
踏んだ瞬間になんなのか理解した。それを見るのは1年ぶりで、やけに久しぶりに感じる
しっかり見たいとつい手を伸ばして土を払い退ける。
そこには太陽に照らされて白く輝く霜柱があった。
まるで宝石のような、触れてみれば溶け出して手袋をあっという間に濡らしてしまう。
その冷たさに我に帰って手を引っ込める。
パッパッと手袋についた土なんかを払い落として、また地面にできた宝石を眺めている。
季節を感じるということは美しいことだと改めて思う。
私が生まれた季節になると、葉が赤く染まりあがる美しい光景が見られる。
季節を感じられる喜びから気分が高揚しつつ、霜柱を踏み潰している。
11/28/2025, 4:31:55 PM