「許されるがなら、素顔を見してほしい」
意を決して、主にそう切り出いた。面の下で、どんな顔をしちゅーろう。
冷たい風の通り過ぎる音だけが聞こえた。
わかってはおる、まだ信頼が足らんのだと。
弱みを見せるだけの相手にはなっちゃあせんと。ほんでも、教えてほしい。不安になってしまうき。突然の別れだって、あり得る世界やき。
やけんどこりゃわしの我儘や。
それに、外せん理由もわかってしもうた。
人には知られたくない事があるし、それを暴くがは無粋や。
「ごめん、無理を言うてしもうて。ほんじゃあきに、今の話は──」
最後まで言う前に、主が口を開いた。
「吉行、ありがとう」
優しい声だった。
「君の不安は当然のものだ。だけど、ここまで不平をこぼさず、私の傍に居てくれた。それだけじゃない。自分の命も顧みずに助けてくれたのも……ね」
「そりゃ男士として当然のことや、間に合わざったら、わしゃ…………すまん、続けてくれ」
「君と、その主のことを調べさせてもらった」
心の中を覗かれちゅーような、そがな気持ちになる。
「戦いとは理不尽なものだよ。大切なものを奪い、壊していく」
息を吐いたのか、肩が微かに揺れた。
「吉行、君にとって私はどういう存在だ?」
「守るべき主や。あの時とは違うがやき!」
※未完、もしかしたらpixivに続き載せるかも
2024/01/25・逆行
1/25/2024, 9:59:31 AM