夏の魔法使い

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『嵐を呼ぶオオカミ少年』

僕は嘘つきだ。
まさに絵本のオオカミ少年のように。
寂しくてかまってほしくて嘘をついた。
積み重なってだれに何を言っても信じてもらえない、
構ってもらえない。寂しく思う気持ちにも嘘をつくようになって誤魔化すように嘘を吐く。

ある日どす黒い雲が見えた。
嵐だ。 とても大きい。
こんなのが来たら街はどうなるか。
でも、もう街の人には伝えない。
嵐が来たなんて信じてもらえない。
本当に嵐が来ようがたまたま嘘とタイミングがあっただけとかなんとか言って信じることはないだろう。
そんなこと考えながら安全なところに逃げる。

僕は悪くない。
街の人のせい。
嘘はついてない。
何も言ってないから。
寂しい。
街の人なんて大嫌い。

頭によぎった言葉の中に嘘は幾つあるだろう。

7/29/2024, 12:08:23 PM