星に願って
夜の帳が降りるたび、
独り、空を見上げる。
星に託す願いは、
叶う筈もないと知りながら。
全て、棄ててしまいたい。
温もりを知ってしまった過去も、
義務と過ちに縛られる現在も、
闇に覆われ、光の見えぬ未来も。
「あの頃に戻れたなら。」
許される筈のない願いを、
星はただ、静かに見下ろす。
願う程に、遠ざかる。
ならば、いっそ。
全てを消してしまいたい。
記憶も、意識も、
この存在さえも。
だから、星に願って、
静かに目を閉じる。
その輝きが、
冷たい刃となり、
この胸を貫き…。
全てを。
終わらせては、くれないか。
2/11/2025, 9:06:55 AM