わたあめ

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 遥か昔、灯りは愛でした。
 長い時間をかけて火を起こし、愛する人に温かい食事を用意しました。
 愛する人を寒さから守るため、永い夜も灯りの側で見守りました。
 旅人は灯りを頼りに愛する人の元へ向かいました。
 大切に扱われた灯りは暖かくやさしく私たちを包み込みました。
 
 今では灯りを見る事がほとんどなくなりました。
 スイッチひとつで電気がつき、お店で食べ物が提供されます。一年を通して快適な室内で生活します。寝ても起きても変わりません。
 誰の手のひらの中で完璧なナビを持ち、迷う事なく目的地へ辿り着けます。

 私たちは灯りを探さなくてはならなくなりました。
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お題:イルミネーション

12/15/2024, 5:41:16 AM