23日目
夏休み、私はある1本の映画を見た。
その映画はただただ男が生と死の淵を彷徨うだけの面白くも、怖くもないつまらないものだった。
でも、私はその映画から目が離せなかった。
何故か引き込まれてしまう。深く考えてしまうような映画だった。
スクリーンを前にして座っているのは私を除いて1人か2人だろう。
何故こんなにも引き込まれてしまうのか、私以外の人もこんな気持ちになっているのか、気になる。
2時間程でその映画は終わった。
9月1日、夜の10時。
邪魔者はいない、邪魔してくれる人もいない。
気づいてくれる人も、見てくれる人もいない。
私は1人、廃墟のビルの屋上に向かった。
あの映画から抜け出せなかったのは、私の意思かもしれない。
私がこれからどうなろうがすべてどうでもいい。
12/28/2023, 4:31:33 PM