黄身

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あの日のぬくもりを腕に抱えて歩いていた。そのぬくもりは冷めもせず、硬くもならず、わたしのそばにただ在った。
ただ、ぬくもりは風化した。覚えてさえいれば永遠であったそれは、私の腕からするりと抜け落ち、崩れ、誰にも届かないどこかへ流れていった。
不完全さは美徳だと、儚さは美しさだと叫ばれるこの場所で、わたしが喪くしたぬくもりはどうして、その美でわたしを癒さない。

2/28/2025, 6:31:42 PM