あの時も、あの時もあの時も、
私は大切な何かを守りたかった。
だけど実際、それがなんだったのか、今でも分からない。
もしかしたら奇跡が起こるかもしれない、そう思って裏切られてきた。
この場所さえ守れば、その奇跡はいつだって起こり得ると、そう思って、雨の日も、風の日も、ひたすらその場所で待っていた。
傘を差しのべてくれる人は沢山居たけど、一緒に待ってくれる人は居なかった。
心配だから、もう待つのを辞めたら?と誰かがか言う。
待ってても無駄だよ、時間がもったいない、と誰かが言う。
何も言わずに私を見ている人もいた。呆れ果ててものも言えないのだろうか。
私はいつだって置いていかれる方でいる。
私は、それを自分で選んでいる。
必要なら突き放すことだってできる。
私はここから動かないけれど、誰かの枷にだってなりたくない。
私がいるから大丈夫。ほんとうは一人は寂しいけれど、誰かの帰る場所でありたい。
私にも帰る場所はあるけど、帰りたいと思えるわけじゃない。
それが酷く寒くて冷たくて、苦しかった。
行ってらっしゃいと、おかえりが言いたい。
私は、その言葉を、もう随分と聞いてない。
いいえ、聞いていたとしても、それは私の望む音ではなかった。
だって、そこは私の帰りたい場所じゃないのだから。
9/24/2024, 6:12:59 AM