黒山 治郎

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時間だ。

言葉と同時に施錠は解かれ
重い扉を看守が開く

二度と此処へは戻るなよ。

鈍く釘を刺す幻聴を煩わしく思い
反応もせずに外へと歩き出した

色を忘れた廊下を抜けて
外気を感じられる扉の前に立つ

遮る物も無いままに色も知らぬ眼窩へ
責め立てる様な光彩が一斉に飛び掛ってくる

母胎に宿った頃から既に悪魔の子として
牢屋と質素な食事が与えられると定められていた

しかし、時代にそぐわぬと誰かが囀ると
滑稽にもお偉い様の掌は一様に返され
永遠の囚人であるべき悪魔の子は
感動的にも枠の無い景色との対面を果たした


色を知らぬメアリーに問う
物理主義者共に心を示せ
主体的真理に歩を進めよ

外界に戸惑う事など許可されない
残酷な程に、時は待ってくれないのだから。


ー 時を告げる ー

9/6/2024, 2:58:23 PM