鶯になりたかった鳩

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祖父が亡くなって もう何年経ったろうか
胸が締め付けられると言われた時
明日に病院行こうねと返した僕ら



我が家の前には 救急車一台
見慣れた居間に 救急隊が二人

車で避けるだけのその車は
近くにあると、意外と大きいものだった

通れぬ車で大渋滞
敷地の中に入れろと 怒鳴る先頭の男
ボサボサの髪とパジャマで 蘇生中なんで、と返す

気づけば 全員がUターンして 消え去った


手入れをする祖父がいたことで
我が家の庭には
秩序があった 四季があった

誰の生き死ににも関係なく 夏草は伸びる 
誰にも知られずに ただ伸びていく
もうすぐ夏も終わる 

僕は、あと何回墓参りに行けるだろうか



8/28/2025, 12:41:55 PM