僕が高校生の頃、
授業が終わり、
シューズから靴に履き替えながら外を見た。
土砂降りだったが、
天気予報を見ていなかった僕は
傘を持っていなかった。
これはもう濡れて帰るしかないかと諦め、
校舎を出た。
でも、何故か雨が当たらず濡れていない。
隣を見ると僕の親友が隣で笑っていた。
その近さに時々触れる肩に意識を持ってかれて
僕は顔を赤くした。
バレないようにそっぽを向く。
ドキドキが止まらなかった。
君に聞こえていないだろうかと思うと
更にドキドキが増した。
僕はその親友に恋をしていた。
親友も男だったから、
このことは墓まで持ってくはず…だった。
あまりにもそっぽ向き過ぎると
不自然に思われるかもしれない。
そう思った僕は前を向き、
恐る恐る隣をちらっと見た。
僕は顔が熱くなるくらい赤面した。
なぜなら、ノンケのはずの親友は
耳まで真っ赤にして顔を隠している。
僕が濡れないために入れてくれただけではない?!
まさか、僕のこと好き?と
期待をしていた。
その期待を親友は裏切ることなく、
付き合うことになった。
僕はあの時の相合傘が忘れられず、
今でも傘を〝わざと〟持ち歩かない。
なぜなら、
今も君とこうして相合傘を楽しんでいるから。
僕と君が付き合うきっかけになってくれた
相合傘。
これからも、雨の日が楽しみだ。
【相合傘】
#55
6/19/2023, 12:37:49 PM