→短編・虹の麓の蚤の市
まだ知らない君へ。
隣町の角を曲がって、煉瓦造りの洋館を通り過ぎ、植物園のジャスミンのアーチをくぐって、目を閉じて3回踵を踏み鳴らせば、虹の麓に到着できるよ。
いつでも案内してあげる、付いておいでね。
蚤の市は、純度87%の透明な朝限定で開催されるよ。
この前案内した人は、宝物をいっぱい見つけたって言ってたっけ。知ってるけど知らない人にプレゼントしたいんだってさ。
意味がわかんないよね。
でも、まだ知らない君に語りかける僕も同じようなものだね。
そうそう、あそこの蚤の市の品物はね、彼らが辿ってきた物語を全部記してあるんだ。読んでいるとついつい夢中になっちゃうから、気をつけてね。
ストーリーチェイサーになって、永遠に虹の麓に住み着く人もいるんだって。
それはそれで楽しそうだよね。
君はどんなものを見つけるのかな?
物語は無限だよ。
テーマ; まだ知らない君
〜1/22テーマ・あなたへの贈り物
『ここで知り合った知らない貴方へ』
1/30/2025, 2:17:51 PM