夢幻劇

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頭が痛い。

というよりこれは目か?

もうなんでもいいけど、いやよくはないけど、ともかく痛い。


しかし困った。薬は持っているが、授業中に飲むのには少し抵抗がある。それに結構やばめ?と言われても、授業を抜け出す程の痛みではない。でも、痛いものは痛い。それゆえ困る。

授業時間もあと30分。うん、大丈夫、イケる。せっかくの自習だし、ゆっくり進めていよう。


と思ったらこれだ。なぜに、うちのクラスの男子は静かにできないものか。
たかが数十分の自習時間さえも、狭い教室の隅も、格闘技場へと変えてしまうのにはむしろ感心する。と言うのは皮肉で、実際にはやめて欲しいのは言うまでもないが。

困るな。うるさいな。頭痛いな。てか席近いんだよな。ぶつからないかな。いや叫ぶなよ。頭に響いて余計痛いって。君たちも3年よね?受験生よね?理解できないって。いやまじで暴れないでよ。先生注意してくれよ。

叫び声と笑い声と、なんとも不快な大声が頭の中でコダマする。もともとこういう空気が得意ではないのに加え、頭が痛い。最悪だ、無理、泣きそう。

イライラが募りに募ったそのとき、1人の男子にぶつかられた。

は。がちかよ最悪。まじでやだ。ばかすぎだろ。ほんと無理。やばい泣きそう。

今にも泣き出しそうなとき、試合を終わらせるゴングのように授業終了を知らせるチャイムが鳴った。

男子の群れも、気まずさからかそそくさと自席に戻って行った。

ほっとして廊下に出ると、“彼”が声をかけてくれた。

ぶつかってきた男子でもないし、ましてや格闘に混ざってなかったのに「大丈夫だった?」そう一声かけてくれた。

話せた嬉しさと、気遣ってくれた優しさと、そうやって気遣えるところが好きなんだよなあと、スマートだなという感心とを混ぜ合わせた安心。


「うん、大丈夫」
そういうのが精一杯だったけど、感謝はちゃんと伝わっていただろうか。

“彼”のことだから、きっとそれも汲み取ってくれたはずだ。


『ありがとう、好きだよ』


彼には言えなかった思いをここに残して。


【優しさ】
後半は捏造。前半はノンフィクション。

1/27/2026, 10:28:58 AM