はるさめ

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バカみたいだって、そう思った。

私の手の中にあるのは卒業アルバム、開いているのは寄せ書きのページ。

そこには、学生時代共に時間を過ごした「友人」からのメッセージが散りばめられていて。

"離れてもお互い頑張ろう"
"たまには一緒に遊びに行こう"
"卒業してもLINEするから会おうね"


今ではそう書いてくれた「友人」の全てと縁が切れた。
私は信じていた。卒業しても仲は続くと、連絡を取る回数こそ少なくなれど会おうと思えば会えると。
だから私は待っていた。私は本当に友人だと思っていたから。
けれど、1年経っても2年経っても会おうなんて連絡は1つも来なかった。私から連絡しようと思ったこともあった。でも、インスタのストーリーに映る彼女たちはとても楽しそうで、私はそこに居るべき人間として選んでもらえなかったのだと思ったら、とてもじゃないが連絡なんてする気になれなかった。
おかしい、悲しい。ストーリーに映る彼女たちの全員と私は卒業するまで「友人」であったはずなのに。

コーティングされた寄せ書きのページは、私から零れた涙を弾いた。
私がどんなに泣いたって滲んで消えることすらしてくれないこのメッセージたちは、この先もずっと私の心に傷を残し続ける。

結局私だけだった。彼女たちを好きだったのは。
結局私だけだった。今後も会えると思っていたのは。
結局私だけだった。友情は続くと思っていたのは。

結局、結局、全部、私だけ。


「…バカみたい」


私はアルバムを閉じてスマホを開き、
「友人たち」のストーリーをミュートにした。

3/22/2023, 12:38:11 PM