春を通り越して初夏を感じる今日この頃。
日差しはあれど、湿気がほとんどなく地味に過ごしやすい季節だ。
それでも――
「暑いですね」
「うん……」
そう。暑いものは暑い。
冷房をつけるほど暑いかと聞かれると、そうでは無いのだが陽射しの中にいるとじわじわと暑くなる。
「飲み物持ってきますね」
「ありがとう」
彼女がソファから立ち上がり、台所へ行くと心地よい飲み物を注ぐ音が聞こえた。
「今年初の麦茶でーす!」
ソファの前のローテーブルにお茶受けと共に細長いグラスに氷と麦茶が置かれる。
「ありがと」
「どういたしまして」
二人で一気飲み干すと、思った以上に水分を欲していたのだと理解した。
「もう一杯いりますか?」
「あ、俺が持ってくるよ。座ってて」
「はーい、ありがとうございます!」
青年は冷蔵庫にあった冷水筒を持ってくる。
透き通った琥珀色が季節をより近付けた。
おわり
お題:透明
5/21/2024, 11:07:43 AM