お題:夢見る心
子どもの頃、親の買い物に付き合うことが好きだった。お手伝い、なんて殊勝な心がけではなく、お菓子を買ってもらいたかったからだ。
スーパーに入るなりソワソワし出す私の魂胆などきっと母にはお見通しで、いつもしょうがないというように笑って100円玉を握らせてくれた。
ざらりと光るこの硬貨が、私は一等好きだった。お菓子売り場は宝箱で、駄菓子一つ一つは金銀財宝。ぎゅうと握りしめてぬるくなった硬貨をさて何と変えようかと眺めるひと時、全能感が全身に満ちるのを感じたものだった。
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買い物カゴをストレスの捌け口にしている今の私は、もうあの頃のように、お菓子売り場に夢を見ることができない。
4/17/2024, 4:12:20 AM