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「なっちゃーん、おひさぁ」
「げっ。早くね」
「えぇー。はっちゃんけっこうがんばったよぉ」
「あー?あー…お前じゃねえ、つぅの奴どうした」
「転んだ」
「なんて??」
「だからぁ、ほんとはつぅちゃんのばんだけど、
 つぅちゃんとまっちゃったから、なっちゃん」
「……はるもうちょい頑張れねえか」
「こうたいおわってから、つぅちゃんころんだから」
「あーうわーマジか…。つぅどんくらいで戻る?」
「ひとつきはないって」
「そりゃそこまで伸びたら奴の戻る余地がねえわ。
 しょうがねえ」
「がんばえー」

‹夏の気配›


果てなく広がる大空と
希望隠して輝く海
その向こうには夢のような
夢のような世界があって
幻獣がいて魔法使いがいて
船が空飛び星を掴み
飢えも病もなく笑い合う
そんな国があるはずで
だから全て捨てて飛び出した
家族も罪も血塗った過去も
全部捨てて全部壊して
一人だけで希望を掴みに
そしたらきっとその国にはきっと
しあわせを生きる皆が居るはずで

‹まだ見ぬ世界へ!›


君のせいだ君のせいだ
と詰るひかり
悲しいような苦しいような
さりとてどこか嬉しげに
君のせいだ君のせいだ
と震えるかぜ
責めるように憤るように
さりとてどこか頼りなげに
君のせいで生まれたのに
君が足りないから死んでいく
本当のことで真実で
だからそこに恨みさえあれば
ただただそうであったなら
「ありがとう」
と振り返る瞳に
恐怖はあれど憎しみは無く
「じゃあね」
と紡がれた声は
疲れたように穏やかで

‹最後の声›

6/29/2025, 6:10:18 AM