「お姉ちゃんとはちがうんだよ、」
弟は私の机で夏休みの宿題をしていた。
いや、正確に言えば、答えを"書き写していた"のだ。
だから私はいった答えをみるな、ルールを守れないなら私の部屋で勉強するな、と。
辛辣な姉なのかもしれないが答えを見るなというのはもちろん弟のためだ。
かくいう私も受験生だというのに勉強もせずスマホをみていたのだが。いつも考える。自制ができていない、すぐにスマホをみてしまうのをやめなければならない、このままだと、また。本気で頑張らなきゃいけないのに。
〜〜〜〜
弟は宿題を一旦終え、部屋をでる時に言った。
「お姉ちゃんとはちがうんだよ、」
そう口にした弟の声は妙にかすれ、いつもと違う雰囲気をまとっているように感じられた。
弟が出て行ったあとの部屋。
時がとまったようだった。自然と涙がこぼれた。
私は弟の目にどううつっているのだろうか。
涙の理由は何だったのだろうか。
私ががんばっている理由はなんなのだろうか。
最近よく人格形成について考える。
私ががんばってがんばって掴んだもの、憧れのあの人たちにおいつこうと努力した時間、"勉強しなくても頭いいからどうせいい点とれるくせに。"テスト前に悪意ない友達の言葉につけられた傷、常に感じる劣等感、色んなことが前からきえてゆく喪失感。
何も違わない。くやしいと思うならがんばってはいあがろうとすればいい。簡単なことじゃなくてもいつか報われる日をまって、努力しなくちゃ。
母と弟の小学校のテストなどをみたりして将来を心配することがよくある。けどそれを弟か聞いている事は無い。もし、いつも何も考えて無さそうな弟が劣等感を感じているとしたら。もし、意識せずうちに傷つけていたとしたら、。
自分一人で抱えるべきものが多すぎて、考えるのがつらくて、相談する人もいなくて。文にかきおこすことしかできなかった。それをしてもなお上手く心情をのせられずもどかしくて。強い人になると決めたのに、いつまでも自分にさえ勝てなくて。書いた文章が自分に足りないものを著していて、わかっててもなおまだ行動できなくて。意識と行動がともなわずに悶える。
7/31/2025, 11:54:06 AM