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 今夜はとびきりいい獲物が釣れて、気分は上々だった。
 お気に入りの銘柄を開けて、楽しみながら料理をしよう。刺し身にするか、開きにするか、煮るのもいいなとあれこれ考えながら車を走らせる。
 少し外れた穴場のスポットだから、道が悪い。
 事故らないように気をつけないとと思ったら、目の前を見覚えのある影が通り過ぎて思わずブレーキを踏む。
 すぐに通り過ぎていったのか、もう姿は見えなかった。
 まだ居るんだなぁと思いつつ、改めて車を走らせる。
 迷惑だよな、ほんと。
 こんな道にいつまでも居着いているなんて、さっさと駆除でもされてしまえばいいのに。万が一事故ったらこんな山道で女一人は詰みなんだぞ。
 後部座席でバタバタと跳ねる音がする、活きがいいのはいい事だ。座席から転げ落ちなければだが。
 山奥の別荘にようやくたどり着いて、車を止める。
 後部座席のドアを開くと、怯えきった瞳と目があった。
 舌なめずりを一つ、いい女が釣れたと思ったんだろうが、相手が悪かったな?
 さて、刺し身にするか、開きにするか、煮るのもいいが、……今日はたたきにしよう!
 ああ、楽しみだ。
 長く長く、楽しませておくれよ?
 こんなに我慢していたから、もうこらえきれないよ。

3/20/2023, 3:28:08 AM