わをん

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『冬になったら』

冬になったら私にはやりたいことがある。
秋になっても秋らしくないような気候が続いていた。紅葉もしないし霜も降らないおかしな気温は日が沈むと途端に冷え込んで情緒もおかしくなっていく。そのせいで同居する姑はいつにも増して機嫌が悪く、その腹いせのとばっちりが私に来る。
けれどいくらなんでも冬になれば氷は張るだろうし雪も降り積もるだろう。夏とは違って簡単にはものは腐らないし、日は短くて夕暮れも早い。死体を隠しておくにはうってつけの季節だ。
きょうも不機嫌な姑が声を荒げて私を呼んでいる。私がいつものように明るく返事をしていられるのもいずれは冬がやってくるとわかっているからだ。道具はすでに揃えてあり、荷物もちゃんとまとめてある。心離れた夫は家に寄り付かないから発見はきっと遅れるに違いない。
あぁ。冬が待ち遠しくてたまらない。

11/18/2024, 3:28:05 AM