一緒に暮らし初めて、何年経っただろうか。
あれは彼が選んでくれたもの。
あ、これもだ。
そして目に付く、うさぎ柄とパンダ柄のマグカップ。
これはふたりで選んだもの。
最初は一緒に暮らすことにも不安があった。
所詮は他人だ。
それでもひとつひとつの関係が、他人から恋人へ、そして家族に変えていく。
彼女はこの街に来たばかりの頃を思い出す。
色々なものに絶望して、不安を抱えつつ。一縷の希望を見て、辿り着いた街。
そして、彼に出会った。
彼女はふと微笑んだ。
もう、大丈夫だと。
遠い過去と未来の自分に向けて、そう言葉を紡いだ。
おわり
お題:あの頃の私へ
5/24/2024, 11:55:33 AM