あそこに浮かぶのはなんだろう――――そんな好奇心だった。
ごくごく微量な空気。膨張し続け、終焉と誕生を繰り返して。光年のかがやきと反射が暗闇の安寧と秩序を助ける空間。虚無や時空を喰らうおそろしいものもある。それらをうまく巧みに避けてきたのだろう。
すぃーーっと寄って。
いきものだ。
なまものと書くあれ。しかしどうして、ぴくりとも動かず、ふぅらふぅら、抵抗も摩擦もなく微々たるもの引力に取り合われてゆっくりと進んでいる。
これらは同じ造形をしていた。
頭部に胴体、四肢。皮膚の上にひらひらしたものをまとって。
対のように絡まって、離れず放さず。
引き出しを引いてページをめくるように、全知を探って。――――ああ、そうだ、人間。
疑問。
見渡せどこれらの星はない。船もなければ、残骸すら見当たらない。どこから、どれくらい、漂っているのか。
気になってはみるが、はたして能力も術も持ち合わせていない。全能に取り揃えはなかった。
惜しいこと。
とすれば、これらのすべてはこれらの中にしかない。存在し得ない。
すべて、すべて。すべて、がだ。
どこで生まれ、どこでどのように育ち、どうして二体で、何があって漂うのか。誰で、識別される音は何で、所縁が何か。
記録は記憶はその情報は、これらの中に綴じて閉ざされている。
それらが開けるのはいつだろうか。
何が起因となるのか。
……ううむ、気になる。甚だ爆発的な好奇心に殺されかける気分になるほど。気になる。気になってしまう。
よしんばどこかの星に着けたとして。
閉ざされたまま永久凍土か。開く術を滅するように即火中か。
悩む、悩み悩み。
手引きは無作法か。つくりかえるか否か。
――――標をつけよう。
あとで、留まったら追ってみよう。
不動か焼滅か。それとも還るか。育つか。
手を入れず。任せてみよう。
何かの変化が、これらの望んだ臨んだものが、開けて全知の一部となる日を幸いと願って。
この記録はページにせずめくらず。
手の甲にでも記しておこう。
#閉ざされた日記
1/19/2023, 12:18:18 AM