【秋🍁】
連なる山々は紅葉で自らを彩っていた。
ひらひらと一枚のカエデが男の頬に舞い落ちる。ややしっとりと湿気を持っているのは、昨夜降り続いた雨のせいだろう。
男はぐちゃりとした地面の上に寝そべっていた。下には紅葉によって作られた紅色のカーテンが敷かれている。
そこにてらてらと輝く流血。
腹部に突き刺さったナイフの傍から、それは流れ続けていた。
まだ息をしているが、もう少しもしないうちに自分は息絶えるのだろう。男は血が薄くなった脳でぼんやりとそう感づく。
男によって作られた血溜まりは、紅色のカーテンを一層赤黒く彩り、華麗に仕立て上げていた。
9/27/2023, 9:55:32 AM