香草

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「久しぶりに来たね〜。」
昼のファミレスに溢れる幸せな空気に負けないように言った。
私たちはまだ幸せですよ、と周りにも自分にも言い聞かせるかのように。
「何にするー?やっぱりハンバーグ?好きだもんねー。この前食べたさあ、ハンバーグめっちゃ美味しかったよね。この前って言っても3ヶ月くらい前だけど。」
1秒でも今を続けたくて、ベラベラ喋り続ける。
目は合わせない。冷たい視線を感じるからだ。
その視線を遮りたくて、プラスチックのバカでかいメニュー表を顔の前に掲げる。
「私このパスタにしようかな。」「なあ、」
目が合ってしまった。空気を切り裂くように呼び鈴を鳴らす。
まださよならなんて言わないで。


※他アプリで書いていた話を編集しました

12/3/2024, 1:02:26 PM