SHAKE

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どれだけ血液を分け与えても
救われた命には見合わないだろう。


無機質な病室の真ん中で機械が音を鳴らすことでしか
彼女の生存を知ることができないのはあまりにも寂しい。

そっと手を握れば仄かに体温が残っていて、
分け与えた血がちゃんと身体を巡っている気がして安心すると同時に、ある日突然この温もりがなくなってしまったら、と衝動的な不安も湧き上がる。

護られたのに情けないのは判っている。
だから此処にいるのは俺一人でいい。

8/2/2024, 3:09:39 PM