誘喜

Open App

 絶滅危惧種は著しく数の減っている動物である。それに関して野比のび太がこんな類のことを言っていた。「僕はこの世界にただひとりしかいない絶滅危惧種なんだ。それなのになぜみんな大切にしてくれないんだ」
 確かこんな感じだったと思う。なるほど。僕達はそれぞれが全く違った「ただひとり」の存在なのか。幼いながらそう感心した覚えがある。それを言うならば、そこの道を歩いている蟻も、この家の何処かに潜むアシダカグモもただ一匹の絶滅危惧種だ。それぞれの命は大切である。それを比べることすら邪であるほどに。
 その命を無駄にしてはならない。すり減らしてはならない。ただひとりの君へそう祈ってみる。

1/19/2025, 10:09:19 AM