「駐車場で遊んでいたこと」
少し遠くに高層ビル。
その手前にマンションやらビルやらが見える住宅地。
遊び場は駐車場。
公園に行くには大通りを渡らなければならない。
子供たちだけでそこに行くのは危ないし、日中はほとんど車の出入りがないから、みんな駐車場で遊んでいた。
問題は、すぐに吠えて噛み付く犬の散歩コースだということ。
その犬が来るとみんな逃げる。一目散に逃げる。
たまに逃げ遅れて追いかけられたり、噛まれたりしていた。今から思うと、飼い主は何してたんだろうと思う。
駐車場だから、ボール遊びは出来ない。
せいぜい缶蹴り。
ドロケイが多かったかな。
あとは、隅にある椎の木に登ったり。
たまに駐車場から出て、家と家の間の狭い空間をすり抜けていく、探検ごっこ。
今から思えば不法侵入だ。
塀を乗り越えようとしてスカートの裾を破いたこともあった。
地面に書いた絵をバケツに入れた水で消して、バイバイ。
静かにしていると聞こえてきた、路面電車の音。
今はもう、軽くて静かな音に変わってしまった。
それでも、高層ビルと、煌びやかで鮮やかな光、路面電車を見ると帰ってきたと思う。
どんなに他の建物が変わってしまっても。
あの頃仲が良かった子たちが、この街にひとりもいなくても。
────街
6/11/2024, 2:41:02 PM