村人ABCが世界を救うまで

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部屋に彼女が戻ってきた気がする。

音が鳴らないんだ。足音がしてようやく確証に至る。

自分はスマホでプロジェクターじみた映像を見ていた。
支出計算表と、各部署の活動記録を合わせたような解説動画だ。
通過度が高いにも関わらず裏からも横からも、閲覧者の背後からも見えない作りになっているから本当に良くできている。
「今日、休みではなかった?」
彼女の短い言葉には色々な含みがあって、読み間違うと捻れるから厄介だ。
「休みですけど」
「どこか行くのかと思っていた。昨日誰かと話していたでしょ」
あ、聞かれてたのか。
「ずっと先の話ですよ」
「そう」
スマホの電源を落とし、ボディポーチを手に取る。必要なものは最低限。最近のこちらのスマホは、時代に反するように小型化している。不思議なものだ。
あ…と椅子に座る彼女と目が合う。寂しそうで、何も言えないでいる顔。
「午後には帰ってきます」
「そう…」
今見たぞ。少し嬉しそうにしたな。
「何年一緒にいると思ってるんですか」
って言ったら貴女は照れるんでしょうね。
美味しいご飯でも食べに行きましょうか。


何気ない振り

3/31/2026, 3:23:04 AM