香草

Open App

「新年」

今年こそいい年にしてやると半ば気合を入れてベッドに潜り込んだ。
だけど出てきたのは縁起のいい山や野菜や鳥なんかではなくりんごのような女の子だった。
白いニット帽から毛糸のおさげを垂らしてパツパツのフランスパンのようなダウンコートを着ている。
口を白いマフラーの中にしまって、まあるく真っ赤なほっぺたがまるでふくらんだお餅のようにマフラーに乗っていた。
どこかで見たことがあるような気がして、だけどそれは絵本とか小説とか私の想像の中だけに存在していたもののような気もする。
彼女は私を見ると目を細めてほっぺたをさらに赤くした。
色鉛筆で塗ったようなじんわりと赤いほっぺた。手で包み込んでしまいたい衝動をグッと堪える。
すごくりんごが食べたくなって目が覚めた。
よく分からない夢だった。
全然知らない女の子だし、自分を含め周りで子供が生まれる予定もない。
何か意味があるのかと調べたけれどこれと言ってピンとこない。
それでもなんだか故郷に帰ったような、昔母の胸に飛び込んだ時のようなホクホクと温かな気持ちだった。
そっと自分の頬を包んでみた。意外と温かった。

1/1/2026, 10:25:15 AM