暖かい日差しに照らされた車内。心地よい揺れに眠気を誘われる。
睡魔に抗いつつ、SNSのDMを開く。
約2ヶ月前から続いているやりとりの履歴は昨日で止まっていた。
SNSで同じ趣味を掲げ、語り合った人たちと現実で会う事になっているのだ。
まあ所謂オフ会である。
スマホの電源を落とし、真っ暗になった画面に反射する自分を見つめる。
前髪良し、メイクも大きなミスはない。
ふわりとした膝丈のワンピースから覗く膝小僧は真っ白で、スマホを持つ腕も同様だ。
目的地のアナウンスが閑静な車内に流れる。
まだ見ぬ人たちとの会話に思いを馳せて、電車のドアをくぐる。
けたたましく鳴るアラームに意識が浮上する。
まどろむ意識に抵抗するように手足を動かし、サイドテーブルに置かれたスマホを手に取る。
指定された方向にスライドして未だ鳴り続けるアラームを止めた。
ああ、いい夢だった。決して私には手に入ることのない、憧れを詰め込んだ夢だ。
だが一方で私を惨めな気持ちにさせる。
嫌な夢だった。
私にはない美貌と、社交性をそのまま反映したような夢だった。
7/21/2024, 10:59:44 AM