無色の世界
無色の世界を想像した。
無色の世界といっても景色はほとんど真っ白な映像だった。
なぜか音もなく静かすぎて、無機質な空間で、
飾りのない黒髪の女一人が立っていて、
黒い瞳で、
こちらを、
真っ直ぐ睨むように見ていた。
どこまでも区切りのない空
凛々しい草花
みずみずしい果実
めいめいに、生命活動をするいきものたち
いとしい者の瞳や頬
身体中を駆け巡り、湧き上がる血液
彼女は、そういう、色にあふれた世界を欲して
あんなに苦しそうに息をしているのだろう。
私は無色の世界を覗くのをやめた。
4/18/2023, 11:16:51 AM