テーマ「誰も知らない秘密」
アタシには、とある事実を抱えている。
それは既婚者を好きになってしまったということ。
その人は私の頭を撫でてくれるし、抱きしめてくれる。いつも一緒にいるその人が、アタシは大好きだった。
でも大好きになった時には既に遅くて、彼は指輪をずっと、左手の薬指に結婚指輪をつけていた。銀色にキラキラしててすぐ飲み込めそう。
いっその事飲み込んで隠してやろうかしら。さっさと消化してどこかへ消えてしまえばいいのに。
ワガママ言ったところでそんなの不可能だって分かってるからいいの。良くないけどね。
あの人には、アタシより愛している人がいる。
その人は、いつも見上げることしかできないアタシとは違って、同じ目線に立って、あの人と愛し合える、そんな人。
わざと突っついて目線をこっちに持ってこさせるの。
わざと甘えるみたいに声をかけてアタシに意識を向けさせるの。
わざと足元に擦り寄って、上目遣いで鳴くの。
わざとお布団の上に、あの人の上に乗って、愛してると言うの。
「ニャア」
2/7/2025, 11:23:08 AM