誰かのためになるならば
私は魔法使い
ただの魔法使いではない
他の魔法使いに殺されないようにいろんな魔法を学んだ
たくさん魔法を使えるように魔力の向上にも努めた
それは全て自分の為に
結果、私はいつしか大魔法使いになった
周りは皆、私を見ると恐れをなして頭を垂れる
自分のために頑張ったら
いつしか私は独りだった
ある日、私の元に人間がやってきた
私たちより短く儚い人生を生きる人間は
私に魔法を教えてほしいと願った
物覚えが悪く、何度も失敗を繰り返していたけれど
それでも懸命に呪文を唱え続けた
「なぜ、そこまでして魔法を使いたいの?」
「私たちは1人で生きてはいけません。なので共に生きるために魔法を使いたいのです」
「共に生きるのに、魔法は必要なのか?」
「はい。生まれつき体の弱い私は、たくさんの人に支えられているのです。なのでそのお返しに
水を作れば花は咲き、花は笑顔を運ぶのです
火を作れば食物を焼き、生きるための糧になります
風を作れば涼を生み、濡れた衣服も乾かします」
その言葉に私は悟った
彼女は自分のために魔法を使わないのだと
支えてくれた人間のため
もしかしたら誰かのために使うつもりだと
「…せいぜい励むといい」
誰かのために魔法を使えなかった私のかわりに
7/26/2024, 12:51:40 PM