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突然の君の訪問…

夜遅く電車の乗客もまばらで、空いてる席に座れた…あぁ、今日も疲れた…足がぱんぱんだ。

『あれ?仕事帰り?随分遅いね お前…大丈夫?』と頭上から声をかけられた。

あまりの疲労さ加減と、誰よ!私をお前呼ばわりするのは!と、ちょっと睨み返す。
あ…
いつ以来だろう…懐かしい顔、憎たらしいくらいに変わってない顔がニヤニヤしながら、私を見下ろす


毎年の年賀状に「可愛い子、紹介して!」と必ず書いてくる律儀な同級生が大人になって、そこにいた。

私の職場を教えてから数日経ったある日、突然、君が私の職場に顔を見せた。

近くに来たから寄ったと言う。
『昼飯まだなら一緒に食べようよ』え〜
職場の後輩に頼んで、すぐ隣のビルのカフェへ。

冷やかしに来たのかと思ったら、近々結婚すると報告を受ける。
その頃の私は、胸が苦しいほど辛い恋をしていた最中だったので、羨ましい報告が嬉しかった。

うっかり、私が暴露した自分の恋を心配して、時々元気か様子を見に来たり、仕事帰りにちょっと飲んだり他愛もない話をして、ゲラゲラ笑ったりした。

もう、二人きりで会うのは駄目ね。
やめてよ。
彼女と結婚する人が、こんなの彼女が知ったら、いい気しないよ?となだめる。

友達だから昔話も楽しいし、ふざけ合うのも楽しいしけれど、決まった相手がいるのに振り廻しちゃいけない…私の恋の結末は、君には関係ないのだから。

そう伝えると、ぼそっと もう少し早く再会してたらな…と。

あっ、もう駄目ね。
君の挙式がいつなのか、聞かなかったね。
結局、私は失恋したけれど、連絡もしなかった…甘えなかった…頼っちゃ駄目だと思ったから…

私もね、本当は思ってたんだ。
彼女に会う前より先に、再会したかったな…なんてね。

突然の君の訪問が、どれだけ嬉しかったか!どれほど慰めて応援してくれたか!弱気な私に付き合ってくれて、どれくらい気持ちが揺れ動いたか…
君は、今でも、知らないままだけどね。



*読んで下さり ありがとうございます*





8/28/2023, 12:03:45 PM