「彼氏が歌い手になったら○す」
とある高校の話。女の子はよく居るタイプの女子高生で、イケメンの彼氏が居ます。女の子は、幸せで順風満帆な学園ライフを送っていました。
「今日は、ヘアアレンジ変えたの。似合う?」
「似合っているよ。可愛い」
一組のカップルが廊下で話している光景は、周りに居る生徒達の注目を浴びる程、青春の光が輝いていました。
「私達、ずっと一緒だよ?」
「何?いきなり」
「あの夜、恥ずかしい写真撮らせてあげたんだから、別れるなんて無しだよ?」
女の子は、男の子に小声で囁きました。
「あ、うん…」
男の子は、気まずそうな顔をしました。
数日後、男の子は嬉しそうに女の子の所へ来ました。
「大事な話があるんだ。聞いてくれ」
「大事な話?」
女の子は、何の話だろうときょとんとしました。
「何と…歌い手オーディションに合格したんだ!俺、遂に歌い手になれるんだ!」
男の子は、小声で女の子にオーディション合格報告をしました。
「誰にも言っちゃダメだぞ。俺が歌い手になるって言ったら、あの写真ネットに拡散させるからな」
男の子は、嬉しそうにガッツポーズをしていました。
女の子は、頭の整理をするので必死でした。彼氏がいきなり一般人からアイドルになる事、彼氏が有名になって自分より魅力的な同業者の女性に惹かれて自分を捨ててしまわないか、頭の中が交錯していました。
「彼氏が歌い手になったら、遠い人になって、手の届かない存在になったら、私の事捨てちゃうよね…止めなきゃ!」
女の子は、男の子を引き留める決心をしました。
「あのね、歌い手になったら、私以外に彼女作らない?」
「……」
「もし、そうだったら…歌い手にならないで!」
「でもよ、歌い手になるってスゴい事だぞ。普通の一般人男子でもジャニーズ張りのアイドルになれるんだからな!頼む、俺を応援してくれ…」
男の子は、女の子の意見に聞く耳持たずでした。頭の中は、輝かしい未来予想図でいっぱいだったのです。
男の子のデビューの日が決まり、男の子は女の子を呼び出しました。
「おめでとう…いよいよだね」
「ちょっと、辛い話するけど良いか?」
男の子は、真剣な表情をしていました。
「あの…リーダーに言われたんだけど、お前とは別れた方が良いって。悪いけど、友達に戻ってくれ」
「な…何で…?」
「彼女が居ると、アイドルの人気に支障が出るからだよ。ゴメンな…」
「ヒドイ…私の裸の写真、消してよ!」
「勿論、時期が来たら消すから」
男の子はそう言うと、自分の教室に戻って行きました。女の子は、ただ泣いていました。
「ヒドイ、許せない…絶対、別れない!」
突然、女の子の所に男の子の友人が現れました。
「悪いな。分かってやってくれ。アイツには夢があるんだ。本当に申し訳ない…」
「……」
女の子は、泣くしかありませんでした。
男の子のグループの初ライブの日、沢山の少女達が観客席で黄色い悲鳴を挙げていました。
「キャー!こっち向いてー!」
「俺も遂にトップアイドルの仲間入りか…大感激しか無いぜ!」
男の子達は、光り輝くステージの上で歌っていると、突然、女の子が現れてステージ上に登って来ました。
「ゲッ…」
「この変態、盗撮強姦魔!」
女の子は、持っていたナイフで男の子の心臓を一突きしました。男の子は、このまま動かなくなりました。
(本当は、彼氏って彼女である自分だけを愛してくれる存在だよね?私以外を愛すなんて…みんなの物になるなんて許せない…私の「初めて」あげた相手…私だけの物だから)
女の子は、男の子を自分だけの物にしたかった。誰かの物になって欲しくなかった。ただ、立ち尽くし、そう思っていました。
「私も、一緒に行くよ…ドロドロに汚れてるから」
動かなくなった男の子の側で女の子もナイフで男の子の後を追いました。ホール中、悲鳴が響いていました。
2/14/2023, 12:37:53 PM