喜村

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 汚い大人から三万円をもらった。ただの紙切れ。
 身支度を整えながら、私はその三枚の紙切れをもらった。
 そのまま用済みの建物から私は姿を眩ます。
 朝日がビル群に差し込む。また朝が来た。
 ふらりと24時間営業のコンビニへと入る。
 今日は火曜日、新作のデザートがずらりと並んでいる。
 でか盛りと銘打ったクリームたっぷりのショートケーキ。何も考えずに買い物カゴに入れた。
 家に帰って、一人で添加物マシマシのご飯を電子レンジにも冷えきったまま食べた。

 子どもの頃は、100円玉だけでも高価だった。お札なんて大金だし、万札なんて夢のまた夢だった。
 ケーキなんて、お祝い事でなければ食べれなかった。
 家族みんなで食卓を囲み、お母さんの温かい手料理を食べる。

 子どもの頃と今では、随分と変わってしまったな。
 カーテンを閉めきった薄暗い中、ショートケーキをプラスチックのスプーンですくう。

「ハッピーバースデートゥーミー……」

@ma_su0v0

【子供の頃は】

6/24/2024, 5:40:15 AM